係数表・$R^2$・残差図を一度に見ます。どれか1つが「良い」こと(高い $R^2$、小さいp)で、他の診断を打ち消してはいけません。
表が示すこと
面積の係数0.85は$p\lt 0.001$で、0とは区別できます。$R^2=0.87$ は、直線が客数のばらつきの87%を説明する、という当てはまりの要約です。切片p=0.21は、面積0のときの平均客数が0かどうかで、面積の効果の有無とは別です(面積0はデータの外のことも多い)。
図が示すこと
図20は適合値が大きい右ほど、残差が±16〜18まで広がる漏斗型です。6問目と同じ等分散の疑いですが、ここでは表の「良さ」と衝突させます。大きい店ほど予測のばらつきが大きい、つまり同じ直線でも右のほうの予測区間は名目より楽観的になり得ます。
Step 1: 矛盾ではなく役割分担
傾き有意と高い $R^2$ は「正の線形関係の大枠」を支持します。漏斗は「誤差分散一定」という別の仮定を疑います。両方あり得る、というのが総合判断です。直線を捨てる必要は直ちにありませんが、「完全に妥当」とも言えません。
Step 2: 選択肢の検討
- 表が良いので漏斗は無視: 診断図を要約指標で上書きしています。不十分です。
- 切片が非有意なので面積も無視: 面積のpは<0.001です。切片と傾きを混同しています。
- 傾きは有意で $R^2$ は高いが漏斗で等分散に注意: 正しいです。表と図の両方を残した判断です。
- 漏斗は $R^2=0$: $R^2=0.87$ が表にあります。漏斗は分散の形の話です。
- pが小さいので因果で必ず0.85人: 観察された店舗の回帰であり、面積の操作効果ではありません。係数は平均的な傾きで、「必ず」でもありません。
回帰出力のチェックリスト
- 係数の符号・単位・p(0かどうか)
- $R^2$(直線の説明割合。形の正しさではない)
- 残差対適合値(漏斗・曲線・外れ値)
- データの範囲外への外挿と、因果主張の可否
8問目は高い $R^2$ とU字(線形性)、本問は高い $R^2$ と漏斗(等分散)。同じ「表は良いが図が警告」でも、警告の種類が違います。
したがって、傾きは有意で $R^2$ は高いが漏斗型残差は等分散を疑わせ予測評価に注意が必要、が最も適切です。
3つの出力を同時に残す
面積0.85(人/$m^2$)は$p\lt 0.001$で、広い店ほど客数が多いという正の関係は支持されます。$R^2=0.87$ はその直線の説明割合です。図20の漏斗は、広い店ほど残差が大きい、つまり予測のばらつきが右で増えることを示します。したがって「関係はあるが、大きい店の予測区間は等分散公式のままでは危うい」が総合です。
切片非有意は、面積0への外挿がデータにない・または切片が0と矛盾しない、程度の情報です。面積の効果を打ち消しません。因果(改装して広くすれば客が増える)は、立地や品揃えの交絡を除いておらず、本出力だけでは主張できません。8問目のU字(形の誤り)と違い、本問は傾きの方向は妥当でも分散の仮定が怪しい、という診断です。
実務では、対数変換や分散不均一に頑健な標準誤差、店舗規模で層別した回帰、などが次の手です。2級の読み取りとしては、表の「良さ」と図の「警告」を両方文章化できることが目標です。