BIダッシュボード: SQL結果を意思決定につなげる
Stage 5 — 第4章 | データ分析基礎カリキュラム 推定学習時間:30〜40分 | 難易度:★★★☆☆
この章で学ぶこと
SQLで集計した結果は、表のままでは伝わりにくいことがあります。 BIダッシュボードでは、売上推移、カテゴリ構成、顧客の動きなどを可視化し、意思決定に使いやすくします。
この章では、SQL結果を BIダッシュボード につなげる考え方を学びます。
この章を終えると、こんなことができるようになります:
- ダッシュボードに載せる指標を選べる
- SQL結果とグラフの関係を説明できる
- 数字を見る順番を設計できる
- ダッシュボード作成時の注意点を理解できる
1. ダッシュボードは数字の置き場ではない
ダッシュボードは、たくさんの数字を並べる場所ではありません。 意思決定に必要な問いに答えるための画面です。
ECの売上確認なら、たとえば次の問いがあります。
| 問い | 見る指標 |
|---|---|
| 売上は伸びているか | 月別売上、前月比 |
| 何が売れているか | カテゴリ別売上 |
| 顧客は増えているか | 購入顧客数、新規顧客数 |
| リピートしているか | リピート率、注文回数 |
まず問いを決め、その問いに必要なSQLを用意します。
2. 売上推移を作るSQL
ダッシュボードでよく使うのが、月別の売上推移です。
SELECT
DATE_TRUNC('month', order_date) AS order_month,
COUNT(*) AS order_count,
COUNT(DISTINCT customer_id) AS purchasing_customers,
SUM(total_amount) AS sales
FROM orders
WHERE status = 'completed'
GROUP BY DATE_TRUNC('month', order_date)
ORDER BY order_month;
この結果は、折れ線グラフや棒グラフに向いています。 月を横軸、売上を縦軸にすると、増減の流れを見やすくなります。
3. カテゴリ別売上を作るSQL
売上の内訳を見るには、カテゴリ別集計を使います。
SELECT
p.category,
SUM(oi.quantity * oi.unit_price) AS sales,
SUM(oi.quantity) AS quantity_sold
FROM order_items AS oi
JOIN products AS p
ON oi.product_id = p.product_id
GROUP BY p.category
ORDER BY sales DESC;
この結果は、棒グラフや構成比のグラフに向いています。 ただし、カテゴリが多すぎる場合は、上位カテゴリだけを表示するなどの工夫が必要です。
4. KPIカードと詳細グラフを分ける
ダッシュボードでは、最初に重要な指標を大きく見せ、その後に詳細を見る構成が使いやすいです。
| 表示 | 役割 |
|---|---|
| KPIカード | 今月売上、購入顧客数、CVRなどを一目で見る |
| 推移グラフ | 時間による変化を見る |
| 内訳グラフ | 商品カテゴリや地域ごとの違いを見る |
| 明細表 | 気になる数字を深掘りする |
SQLも、この構成に合わせて分けます。 1つの巨大なSQLで全画面を作るより、目的ごとにデータを用意するほうが管理しやすくなります。
5. ダッシュボードの注意点
ダッシュボードでは、見た目よりも定義と更新の安定性が重要です。
| 注意点 | 例 |
|---|---|
| 指標定義 | 売上にキャンセルを含めない |
| 更新タイミング | 今日のデータが何時まで入っているか |
| フィルタ | 期間、カテゴリ、地域の条件 |
| 解釈 | グラフだけで原因まで断定しない |
ダッシュボードは、異常や変化に気づくための入口です。 原因を調べるには、さらにSQLで分解して確認します。
実務での使いどころ: 見た人が判断できる画面にする
BIダッシュボードは、グラフを並べる場所ではありません。 見た人が「今どういう状態で、次に何を確認すべきか」を判断できる画面にする必要があります。
| 部品 | 役割 |
|---|---|
| KPIカード | 現在の重要指標をすぐ見る |
| 時系列グラフ | 変化のタイミングを見る |
| 棒グラフ | カテゴリや地域の差を見る |
| 表 | 詳細確認や原因探索に使う |
| 注記 | 指標定義や注意点を伝える |
たとえば売上ダッシュボードなら、売上合計だけでなく、注文件数、購入者数、平均注文金額を一緒に置くと判断しやすくなります。 売上が下がったときに、件数が減ったのか単価が下がったのかを切り分けられるからです。
ダッシュボードでは、グラフの美しさよりも、指標定義・更新頻度・次の行動が分かることを優先しましょう。
ミニ演習
売上ダッシュボードを作るとしたら、次を考えてください。
- 最上部に置くKPIカードを3つ選ぶ。
- 時系列で見るべき指標を1つ選ぶ。
- カテゴリ別に見るべき指標を1つ選ぶ。
- ダッシュボードに指標定義の注記が必要な理由を説明する。
まとめ
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| KPIカード | 重要な数字をすぐ確認する |
| 推移グラフ | 時系列の変化を見る |
| 内訳グラフ | カテゴリや地域の差を見る |
| 明細表 | 深掘りのための行データを見る |
この章のキーメッセージ: BIダッシュボードは、SQL結果を意思決定に使いやすくするための画面です。問い、指標、グラフ、更新条件をそろえて設計しましょう。
この章の確認
- ダッシュボードを作る前に、なぜ問いを決める必要がありますか?
- 月別売上推移には、どのようなSQL結果が必要ですか?
- KPIカードと詳細グラフの役割の違いを説明してください。
- ダッシュボードの数字を見るときに注意すべき点を2つ挙げてください。