データエンジニア / MLOpsエンジニア

機能軸: データ基盤 業界軸: 横断(複数業界) 提供モデル: 事業会社内製

信頼できるデータを24時間届ける配管職人

プロダクトや業務システムを横断してログや取引データを集め、壊れない配管と使いやすいデータマートを整えるのがデータエンジニア。日々のリリースやスキーマ変更に振り回されながらも、分析・AIチームが迷わず使える状態に仕上げるまでを実体験ベースでまとめました。

役割概要

データエンジニアは「データを欲しい人が、欲しい粒度で、欲しいタイミングに受け取れる」ように裏側を整備する役割です。APIやDBからの取り込み、ストリーミング、外部SaaSのバッチなどバラバラなソースを束ね、壊れにくいパイプラインへ作り替えます。

現場では、突然のスキーマ変更やソース障害、オンコール対応が常に起きます。だからこそ監視・テスト・リカバリ手順までを仕組み化し、プロダクトチームと「どこまで面倒を見るか」を握り合うことがミッションです。

主な業務領域

配管づくりとスキーマ設計

  • 取り込みの自動化: 公開APIやMySQLレプリカ、SaaSのCSVを同じ基盤へ吸い上げ、AirflowやDagsterで失敗時のリトライやアラートまで書く。
  • モデル化の再設計: dbtやSparkで「プロダクト側の命名」「分析で欲しい集計」の間を翻訳し、粒度をそろえたスター/スノーフレークスキーマへ落とし込む。
  • メタデータ整備: Data Catalog・リネージュ図・Column Level Lineageを整え、誰がどのテーブルを更新しているかをチームで共有する。

壊さないための運用

  • 品質テスト: Great Expectationsや自作のpytestで閾値・ユニーク制約を定義し、異常値はSlackへ即時通知。
  • コストとパフォーマンス: ストレージ・クエリ料金のレポートを週次で確認し、高額ジョブはSQLチューニングやパーティション設計で抑える。
  • オンコール対応: 夜間の落ち込みに備え、Runbookと自動リバランス手順を整えたうえでSREと当番を回す。

プロダクトとの同期運転

  • リアルタイム連携: Kafka/Flinkでイベント処理し、オンタイム指標やアラートをCS・プロダクトに返す。
  • フィーチャーストア運用: 学習用のスナップショットと推論用のオンラインFeature Storeを同期させ、MLチームの再学習を安定化。
  • データ契約: 事業側のスキーマ変更計画を事前にキャッチし、互換性テストや移行スケジュールをLINE・Notionで共有する。

代表的なプロジェクト

株式会社デンソー ADAS向け機械学習モデル開発基盤の構築

自動運転支援システム(ADAS)の画像認識モデル開発において、AWSのマネージドサービス(SageMaker, Step Functions, S3)を活用したML基盤を構築。データ管理工数を55%、繰り返し学習の作業工数を66%削減した。

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株式会社GINKAN グルメSNS「SynchroLife」のデータ分析基盤構築

ユーザーの嗜好に合わせた飲食店推薦のため、AWS上にデータ分析基盤を構築。ユーザーの行動ログや評価データを収集・処理し、パーソナライズされた情報提供を実現するバックエンドシステムを整備した。

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株式会社primeNumber データ統合自動化サービス「trocco®」の開発

多様なデータソースからのETL/ELT処理を自動化するSaaSを開発。データエンジニアがパイプライン構築にかける工数を削減し、分析担当者やサイエンティストが迅速にデータを利用できる環境を提供する。

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スキル&マインドの3層マップ

テクニカル
  • SQL×分散処理: BigQuery/Snowflake/SparkでTB級の集計を回しつつ、Explainでボトルネックを潰す。
  • ワークフロー管理: Airflow・DagsterでDAGをコード化し、GitOpsでレビュー+デプロイ。
  • IaCと監視: Terraform+Cloud Monitoringで基盤を再現可能にし、メトリクスとログ監視を1セットで仕込む。
ビジネス理解
  • データ契約力: どのテーブルがKPIに直結しているかを把握し、変更凍結期間やSLAをプロダクト側と合意する。
  • 費用対効果: 「このジョブを早朝に回す意味があるか?」を数字で説明し、無駄な更新をやめる交渉をする。
  • ドメイン語彙: 受注・出荷・返品など業務の粒度を押さえ、正しいキーの組み合わせでデータを統合する。
コラボレーション
  • 利用者とのすり合わせ: アナリスト・DSとテーブル定義のドラフトをFigmaやNotion上で一緒に作り、SQL例まで共有。
  • SRE/Infra連携: K8sやVPCの制約、オンコール手順を事前に確認し、障害時のエスカレーションを一本化。
  • ドキュメント文化: Runbook、Data Catalog、命名規則を常に更新し、オンボーディングの摩擦をなくす。

キャリアの伸び方

スペシャリストパス: データアーキテクトとしてパイプライン/モデリングの標準を定め、全社のチームがそれに乗れるようプラットフォームを磨きます。ビジネス側と「どの粒度が意思決定に効くか」まで議論するポジションです。

マネジメントパス: データエンジニアリングマネジャーとしてロードマップ策定やSLA管理、オンコールの設計を担い、採用・育成を通じて組織のスループットを高めます。

越境パス: アナリティクスエンジニアやMLOpsに軸足を広げ、Analystが求めるデータモデリングとMLのフィーチャー配信を同じ言語で語れる橋渡し役になる道も一般的です。

キャリアに関するあれこれ

Q: コードとインフラ、どちらを先に学ぶべき?
まずはSQLとPythonで小さなETLを回し切る力が優先です。そのうえでTerraformやCloudFormationを触り、環境構築を自動化できるとチームでの信頼度が一気に上がります。
Q: データ品質の責任境界は?
入力ミスまで拾うのは不可能なので、KPIに直結するカラムだけはテストと監視を敷きます。検知後に誰へ連絡し、どこまでロールバックするかをRunbookに書いておくのが鉄則です。
Q: どのタイミングでプロダクト側に合流すべき?
仕様が固まった後では遅いので、エピックの企画段階から入り、トラッキング設計やスキーマ追加を一緒に決めます。これができると後で「使えないログだった」を防げます。