ピープルアナリティクス / HRアナリスト

機能軸: 組織・人材 業界軸: 横断(複数業界) 提供モデル: 事業会社内製

データで人と組織の成長を伴走する

月次のエンゲージメント報告書を片手に、HRBPと次の打ち手を議論する――ピープルアナリティクスの現場視点を、データの扱い方と会議での立ち回りまで含めて整理しました。

役割概要

ピープルアナリティクススペシャリストは、人事・労務・業績データを統合し、採用から定着までの課題をデータで可視化して改善策を導く役割です。HRBPや経営陣と協働し、サーベイ分析・離職予測・人員計画などを通じて、従業員体験と事業KPIの両方を底上げします。

データ基盤づくりとプライバシー統制、施策効果検証、現場への説明をワンセットで回すことがミッションです。

主な業務領域

データ基盤とリテラシー整備

  • データ統合: HRIS、勤怠、評価、サーベイ、学習ログを一元化し、匿名化・権限管理を設計。
  • データ辞書: 指標定義・更新頻度・注意事項をまとめ、社内ポータルで共有。
  • セルフサービス支援: HRBP/現場マネジャー向けにダッシュボードやテンプレを提供。

エンゲージメントと施策効果

  • サーベイ分析: 温度感をセグメント別に可視化し、改善テーマを抽出。
  • 離職リスク検知: 勤怠・評価・異動データからリスクスコアを算出し、HRBPへアラート。
  • 施策効果検証: 研修・報酬改定・制度変更の前後を追跡し、ROIを説明。

組織設計と意思決定支援

  • ネットワーク分析: コラボレーション構造を可視化し、サイロ解消の提案に繋げる。
  • 人員計画: ヘッドカウント、報酬、採用計画をデータでシミュレート。
  • DEIモニタリング: 性別・年齢・職種などの多様性指標を追跡し、目標進捗を共有。

代表的なプロジェクト

株式会社サイバーエージェント 従業員コンディション把握システム「GEPPO」の活用

毎月、全社員のコンディションを天気マークで回答してもらうアンケートシステム「GEPPO」を運用。個人の時系列変化やチーム状況を分析し、離職予兆の早期発見や組織課題の特定に繋げている。

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株式会社日立製作所 労務管理データ分析による長時間労働者の削減

勤怠データやPCログなどの労務管理データを分析し、長時間労働のリスクが高い従業員や部署を特定。早期の介入や業務改善を促すことで、長時間労働者を約96%減少させ、労務管理工数を1万8,000時間削減した。

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パーソルキャリア株式会社 退職者リスク分析とリテンション施策

過去の退職者データ(勤怠、評価、スキルアップ履歴など)を分析し、退職に繋がりやすい要因を特定するモデルを構築。「遅刻・欠勤回数が多い」「スキルアップ回数が少ない」などの傾向からリスクを予測し、個別フォローに繋げる。

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スキル&マインドの3層マップ

テクニカル
  • 統計・機械学習: 離職モデル、サーベイ解析、因果推論を扱う。
  • BI/可視化: Looker、Power BI、Tableauで役割別のダッシュボードを構築。
  • 調査設計: サーベイの設問設計、サンプリング、自由記述解析。
ビジネス理解
  • 人事制度知識: 評価・報酬・異動制度を理解し、指標に反映。
  • 法規制・倫理: 個人情報保護、労働法、バイアス対策を徹底。
  • 経営指標連携: 離職率、採用効率、売上/利益への影響を説明。
コラボレーション
  • HRBPとの伴走: 定例で数字の背景を共有し、打ち手を共創。
  • 経営レポート: 役員向けにストーリー立てしたレポートを作成。
  • 従業員コミュニケーション: 分析結果をわかりやすく伝え、施策の納得感を高める。

キャリアの伸び方

スペシャリストパス: 因果推論や組織ネットワーク分析を深掘りし、ピープルアナリティクスのエキスパートとして全社施策をリード。

マネジメントパス: HRアナリティクス部門やHR企画チームのリーダーとして、指標設計と運用を統括。

クロスファンクションパス: HRBP、組織開発、働き方改革プロジェクトなどビジネス寄りのポジションに広がる。

キャリアに関するあれこれ

Q: 個人情報の扱いで気をつけることは?
分析目的と利用範囲を明確にし、匿名化・集計単位・アクセス権限を事前に定義します。社員へ事前に通知し、透明性を確保することが信頼構築の第一歩です。
Q: HR経験がなくても始められる?
データサイエンス出身でも、労務管理や評価制度・組織開発の基本を学べば活躍できます。HR出身ならSQLやBIツール、統計を補強するのがおすすめです。
Q: どこで成果が評価される?
離職率改善、エンゲージメント向上、採用効率化などの数字に加え、経営会議での意思決定を前進させたか、HRBPが自走できる仕組みを作れたかが評価されます。