データマネジメント&ガバナンスリード

機能軸: データガバナンス / 内製 主領域: 全社横断・バックオフィス 働き方: CDO室・データ統制組織

全社のデータを“資産”として扱えるよう、ルールと仕組みを作るのがデータマネジメント&ガバナンスリード。委員会運営から品質改善、規制対応までのリアルな動きを言語化しました。

役割概要

データマネジメント&ガバナンスリードは、事業部門とIT、法務・監査を横断しながら、データの標準化・品質・利用統制を整える役目です。用語定義、アクセス権限、メタデータ整備を仕組み化し、ビジネス価値とコンプライアンスを両立させます。

CDOやガバナンス委員会と連携し、ロードマップ策定からプロジェクト推進、教育、定着までをリード。データ基盤やAI活用が安心して使える土台を築くのがミッションです。

主な業務領域

ガバナンス運営

  • ポリシー整備: データポリシーや標準ルールを策定し、委員会で承認を得る。
  • ステークホルダー調整: データオーナー・スチュワード・利用部門とワーキングを回し、責任分担を明確化。
  • 成熟度モニタリング: ガバナンス指標を定義し、経営層へ定期レポート。

品質・メタデータ管理

  • 標準化: 用語集・データ辞書・リファレンスモデルを整備し、変更管理プロセスを運用。
  • 品質改善: プロファイリングやDQMツールで品質指標を監視し、改善プロジェクトを推進。
  • カタログ運用: データカタログやリネージュを維持し、利用者へのオンボーディングを支援。

リスク・規制対応

  • プライバシー統制: 個人情報・機微データの分類、マスキング、アクセス審査を仕組み化。
  • ライフサイクル管理: 保管期間・廃棄プロセス・監査ログを整備し、証跡を残す。
  • 規制順守: GDPR、個人情報保護法、金融庁ガイドラインなど各種規制に対応した運用を実装。

代表的なプロジェクト

電子部品組立メーカーK社 全社データ統合によるガバナンス強化

事業所ごとに散在し、非効率の原因となっていたデータ管理体制を刷新。データを一元管理し、組織的に活用するためのルールと体制を整備することで、全社的なデータガバナンスを強化した。

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DBS銀行 データガバナンスを通じた顧客体験向上

アプリケーション間のシームレスな認証や安全なアクセス承認を自動化するデータガバナンス体制を構築。デジタル資産とインフラの運用を効率化し、セキュリティを担保しながら顧客中心のサービス開発に注力できる環境を整備した。

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コニカミノルタ株式会社 データ分析サービスの運用最適化と品質向上

グローバルに展開するアフターセールスサービスのデータを管理・分析。データ定義書や運用ルールを整備し、データの属人化を解消。レポート作成時間を半減させ、経営判断に資する信頼性の高いデータを提供できる体制を構築した。

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スキル&マインドの3層マップ

テクニカル
  • モデリングとMDM: 基幹データの親和性を理解し、マスタ統合やER設計を主導。
  • メタデータツール: Collibra、Alation、Azure Purviewなどを活用し、ワークフローを設計。
  • セキュリティ技術: IAM、暗号化、データ分類、監査ログの仕組みを理解して提案。
ビジネス理解
  • データ戦略: CDOロードマップや成熟度評価を設計し、KPIを定義。
  • 業務知識: 財務、営業、サプライチェーンなど主要領域のデータ項目・業務プロセスを理解。
  • 法規制知識: 個情法、GDPR、SOX、金融規制などの要件を読み解き、運用へ落とす。
コラボレーション
  • ステークホルダー調整: 経営層・現場・IT・法務を一堂に集め、意思決定を促す。
  • 教育と浸透: 研修・コミュニティ運営・コミュニケーションプランでガバナンス文化を根付かせる。
  • レポーティング: 監査部門や経営会議への報告資料を整え、改善提案とセットで提示。

キャリアの伸び方

スペシャリストパス: データガバナンス統括者やグローバルデータオフィサーとして、複数地域のポリシーを統合する。

マネジメントパス: CDO室長やデータマネジメント部門長として、組織・人材・プロセスを包括的に統括。

クロスフィールドパス: コンサルティング、監査法人、プライバシーオフィサー、規制対応の専門家として活躍の場を広げる。

キャリアに関するあれこれ

Q: 技術寄りと業務寄り、どちらのバックグラウンドが有利?
どちらも活きます。IT出身なら業務プロセスと法規制を強化、業務出身ならデータアーキテクチャとセキュリティを学ぶと強いリーダーになれます。
Q: 成熟度が低い会社では何から始める?
まずは用語集と責任分担(オーナー/スチュワード)を定義し、小さくてもガバナンス委員会を回すことがスタートラインです。
Q: 成果はどう測る?
品質指標の改善、監査指摘の減少、データ再利用率、規制対応のリードタイム短縮など、実務に直結するKPIで評価されます。