プロダクトアナリスト / グロースアナリスト

機能軸: 分析戦略・意思決定支援 業界軸: SaaS・デジタルサービス 提供モデル: 事業会社内製

ファネル洞察で顧客体験を磨き上げる

PMやUXが「次にどの課題を解くか」迷ったとき、数字とユーザーの声を束ねて意思決定を押し出すのがプロダクトアナリスト。グロース会議で実際にどう立ち回るかを、現場目線で書き下ろしました。

役割概要

プロダクトアナリストは、日々飛び交う「ユーザーの声」や施策アイデアをデータで裏付け、優先順位を決める役割です。ログ・アンケート・サポート問い合わせを突き合わせ、どのセグメントが、どの画面で、どれだけ離脱しているのかをあぶり出します。

PM、UX、開発、CSが集まる場で「この仮説なら投資する価値がある」と言い切れるよう、メトリクス設計から実験設計、効果検証、振り返りまでを伴走。数値の裏で起きているユーザーストーリーを翻訳し、チームの意思決定を前に進めるのがミッションです。

主な業務領域

課題発見と指標設計

  • ファネル分解: サインアップ→定着→課金の各ステップでどれだけ落ちているかを可視化し、誰の課題かを特定する。
  • セグメント切り分け: LTV・リテンション・流入チャネルごとに指標を比較し、投資すべきターゲットを絞り込む。
  • ノーススター整備: チームで追う中核指標と補助指標の関係を図解し、意思決定の共通言語をつくる。

実験と意思決定

  • A/Bオペレーション: サンプルサイズ設計、割付、止め時の判断まで責任を持ち、結果発表も自ら担う。
  • アドホック分析: 「昨日のプッシュ通知でCVが落ちた?」といった緊急調査を数時間で片付ける。
  • ROIシミュレーション: 施策がKPIに与える影響を最悪・期待・ベストの3ケースで試算し、決裁者に伝える。

ストーリーテリングと連携

  • 定性×定量の統合: インタビューで得た違和感をログで裏付け、施策企画者と同じ言葉で議論する。
  • レポーティング: 経営層向けには1枚のサマリー、実務チーム向けにはダッシュボード+コメントで成果を共有。
  • CS/マーケ連携: 解約理由や問合せログをデータ化し、改善案の優先度をマーケ・CSと一緒に決める。

代表的なプロジェクト

株式会社メルカリ A/Bテストによるプロダクト機能改善

「購入ボタンのデザイン変更」などのA/Bテストを実施し、購入率への影響を分析。さらに、新規・既存顧客別、OS別など、セグメントごとに効果を深掘りし、データに基づいたUI/UXの継続的な改善サイクルを回している。

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株式会社リクルート(SUUMO) Think with Googleでのジャーニー分析

ユーザーが「SUUMO」で物件を探し始めてから問い合わせに至るまでの行動データを分析。どの情報が意思決定に影響を与えているかを特定し、コンテンツ改善やマーケティング施策の最適化に繋げた。

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note株式会社 ユーザー定着率向上のための行動分析

ユーザーがサービスに登録してから継続的に利用するまでの行動ファネルを分析。離脱ポイントや、継続利用に繋がる「マジックナンバー」となる特定のアクションを特定し、オンボーディング体験の改善や機能開発の優先順位付けに活用する。

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スキル&マインドの3層マップ

テクニカル
  • SQL×BIツール: BigQuery+Looker/Tableauで自動更新ダッシュボードを構築し、例外検知も仕込む。
  • 実験デザイン: A/Bテスト、差分の差分、プロペンシティマッチングなどをシーンに応じて使い分ける。
  • データモデリング: ユーザー・イベント・セッションを整備し、誰が使っても壊れないマートを提供する。
ビジネス理解
  • プロダクトKPI設計: 事業目標を分解し、ノーススターと先行指標を整合させる。
  • 顧客ジャーニー把握: リサーチ結果を分析観点に落とし込み、定量指標と突き合わせる。
  • 投資判断: 施策コスト・開発工数・期待リフトを掛け合わせ、優先順位の根拠を示す。
コラボレーション
  • 会議ファシリテーション: グロース定例で議論が迷子にならないよう、ハイライトと決定事項を言語化。
  • マーケ/CS連携: 解約理由や問合せログをデータに落とし込み、改善案の優先度を揃える。
  • ストーリーテリング: 数字だけでなくユーザーの行動動画や引用を添え、納得感のある提案資料を作る。

キャリアの伸び方

グロースリード: 指標設計と実験運用の経験を活かし、グロース組織全体のOKRや予算管理を担う。

プロダクトマネジャー: データで施策優先度を組み立ててきた視点を活かし、PMとしてロードマップ策定に移行する道も王道です。

リサーチ/コンサル: UXリサーチャーやグロースコンサルとして複数プロダクトを横断支援し、顧客インサイト×データで価値提供するケースも増えています。

キャリアに関するあれこれ

Q: プロダクトアナリストとデータサイエンティストの違いは?
アナリストは「どの課題に投資するか」を決めるためのメトリクス設計・実験運用・翻訳が主戦場。高度なモデリングは必要になったタイミングでDSと協業するスタンスです。
Q: どんなバックグラウンドが活きますか?
マーケ、CS、UXリサーチなど顧客と向き合った経験が武器になります。そこにSQLとBIのスキルを足せば、現場感とデータを両立した提案ができます。
Q: 定性調査とはどう連携する?
インタビューで拾った違和感をログで裏付け、定量化した仮説として持ち帰ります。定性→定量の橋渡しを自力で行えると、チームからの信頼が一気に高まります。