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2変量データと質的データ

Stage 2 — 第3章 | 統計検定2級チートシート 推定学習時間:55〜70分 | 難易度:★★★☆☆


この章で学ぶこと

2つの変数の関係を見るとき、量的データなら共分散や相関係数、質的データなら分割表やオッズ比を使います。 統計検定2級では、相関と因果の違い、共分散と相関係数の違い、分割表から期待度数を計算する流れがよく問われます。

この章を終えると、こんなことができるようになります:

  • 共分散と相関係数の違いを説明できる
  • 相関と因果を混同せずに解釈できる
  • 偏相関係数の考え方を理解できる
  • 分割表から期待度数を計算できる
  • 独立性の検定とオッズ比の直感を整理できる

1. 共分散:2つの変数が一緒に動く向き

共分散は、2つの変数が平均からどの向きにずれるかを見ます。

\[ Cov(X,Y)=E[(X-E[X])(Y-E[Y])] \]

標本データでは、次のように平均からの偏差の積を平均して考えます。

\[ s_{xy}=\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y}) \]
共分散の符号 意味
$X$ が大きいとき $Y$ も大きい傾向
$X$ が大きいとき $Y$ は小さい傾向
0付近 線形な関係が弱い

ただし、共分散の大きさは単位に依存します。身長をcmで測るかmで測るかによって、数値の大きさが変わってしまいます。

共分散の符号を散布図で読む

共分散では、各点について $(x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})$ を見ています。両方が平均より大きい、または両方が平均より小さい点では、この積は正になります。片方だけが平均より大きい点では、積は負になります。

つまり、共分散は「平均との差の向きがそろっているか」を集計したものです。公式を覚えるだけでなく、散布図のどの点が正に効き、どの点が負に効くかをイメージすると理解しやすくなります。

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2. 相関係数:共分散を標準化する

相関係数は、共分散をそれぞれの標準偏差で割って標準化した指標です。

\[ \rho_{X,Y}=\frac{Cov(X,Y)}{\sqrt{Var(X)}\sqrt{Var(Y)}} \]

相関係数は $-1$ から $1$ の範囲を取ります。

相関係数 解釈
1に近い 強い正の線形関係
0に近い 線形関係が弱い
-1に近い 強い負の線形関係

相関係数は単位に依存しないため、変数のスケールが違っても比較しやすくなります。

なぜ標準偏差で割るのか

共分散は単位を持つため、そのままでは関係の強さを比較できません。そこで、$X$ と $Y$ の標準偏差で割り、単位とスケールの影響を取り除きます。

これは、両方の変数を標準化してから関係を見る操作と同じです。その結果、相関係数は $-1$ から $1$ の範囲に収まります。

[図1] 相関の3パターン 正の相関、無相関、負の相関を散布図で並べる図


3. 相関と因果は違う

相関があることは、因果関係があることを意味しません。

たとえば、アイスクリームの売上と水難事故の件数に正の相関があったとしても、アイスクリームが事故を起こしているとは限りません。共通の原因として「気温」がある可能性があります。

関係 意味
相関 2つの変数が一緒に動く傾向
因果 一方がもう一方を変化させる関係
交絡 第三の変数が両方に影響している状態

統計検定では、相関係数の計算だけでなく、解釈上の注意も問われます。

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4. 偏相関係数:第三の変数の影響を取り除く

偏相関係数は、2つの変数の関係を見るときに、第三の変数の影響を取り除いた相関を表します。

\[ r_{xy|z}=\frac{r_{xy}-r_{xz}r_{yz}}{\sqrt{1-r_{xz}^2}\sqrt{1-r_{yz}^2}} \]

たとえば、年齢と収入の相関を調べたいとします。しかし、教育年数が年齢と収入の両方に関係している場合、単純な相関係数では関係を誤って解釈する可能性があります。

偏相関係数は、教育年数の影響を取り除いたうえで、年齢と収入の関係を見る考え方です。

公式の見方

分子の $r_{xy}-r_{xz}r_{yz}$ は、$X$ と $Y$ の単純な相関から、$Z$ を経由して説明できる部分を差し引いていると読めます。分母は、その差し引き後のばらつきを再び相関係数の尺度に戻すための標準化です。

暗記すると複雑ですが、「第三の変数で説明できる部分を除いた相関」と説明できれば、公式の意味を見失いにくくなります。

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5. 分割表:質的データの関係を整理する

性別と合格/不合格、広告A/Bと購入/非購入のように、2つの質的変数の関係を見るときは分割表を使います。

合格 不合格 合計
群1 $O_{11}$ $O_{12}$ $R_1$
群2 $O_{21}$ $O_{22}$ $R_2$
合計 $C_1$ $C_2$ $N$

ここで $O_{ij}$ は観測度数、$R_i$ は行合計、$C_j$ は列合計、$N$ は総数です。

2つの変数が独立なら、各セルの期待度数は次のようになります。

\[ E_{ij}=\frac{R_iC_j}{N} \]

期待度数は、「独立だとしたら、このセルに何件くらい入るはずか」を表します。


6. 独立性の検定とカイ二乗統計量

観測度数と期待度数のズレをまとめたものが、カイ二乗統計量です。

\[ \chi^2=\sum_i\sum_j\frac{(O_{ij}-E_{ij})^2}{E_{ij}} \]

ズレが大きいほど、2つの質的変数が独立ではなさそうだと判断します。

独立性の検定での自由度は、行数を $r$、列数を $c$ とすると次のようになります。

\[ df=(r-1)(c-1) \]
検定 目的 データ形式
適合度検定 理論分布や想定比率に合うか 1変数の度数
独立性の検定 2つの質的変数が独立か 分割表

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7. オッズ比の直感

2×2分割表では、関連の強さをオッズ比で表すことがあります。

成功 失敗
群1 $a$ $b$
群2 $c$ $d$

オッズ比は次の式です。

\[ odds\ ratio=\frac{a/c}{b/d}=\frac{ad}{bc} \]
オッズ比 解釈
1 関連がない
1より大きい 群1の成功オッズが高い
1より小さい 群1の成功オッズが低い

オッズ比は、ロジスティック回帰の解釈にもつながります。2級ではまず、2×2表から $ad/bc$ を計算できること、1を基準に解釈することを押さえましょう。

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試験で問われやすいポイント

  • 共分散は単位に依存し、相関係数は標準化されている
  • 相関係数は線形関係の強さであり、因果関係を示すものではない
  • 偏相関係数は第三の変数の影響を取り除いた相関
  • 分割表では期待度数 $E_{ij}=R_iC_j/N$ を使う
  • 独立性の検定の自由度は $(r-1)(c-1)$
  • オッズ比は $ad/bc$ で、1を基準に関連を解釈する

この章のあとに解きたい演習

本文を読んだら、次の問題で「公式を選ぶ」「条件を読む」「計算する」練習に移りましょう。