指数と直前確認
Stage 2 — 第16章 | 統計検定2級チートシート 推定学習時間:45〜60分 | 難易度:★★★☆☆
この章で学ぶこと
この章では、統計検定2級で小問として出やすい指数と、試験直前に確認したい頻出論点をまとめます。ラスパイレス指数とパーシェ指数は、式の形だけでなく「どちらの数量を重みに使うか」を見抜くことが重要です。
- ラスパイレス指数とパーシェ指数を区別できる
- 標本抽出法の名前と特徴を整理する
- 検定統計量の選び方を最終確認する
- 回帰、分散分析、カイ二乗検定のひっかけを確認する
- 演習と模試へ進む前のチェックリストを作る
1. ラスパイレス指数
ラスパイレス指数は、基準時点の数量を重みとして使う指数です。価格指数として書くと、
です。
- $p_0$:基準時点の価格
- $p_1$:比較時点の価格
- $q_0$:基準時点の数量
- $q_1$:比較時点の数量
ラスパイレス指数では、分子も分母も数量は $q_0$ です。「昔の買い物かごを固定して、価格だけ今に変えたらどうなるか」と考えると覚えやすくなります。
なぜ数量を固定するのか
価格の変化を見たいとき、数量まで変わってしまうと、指数の変化が価格によるものなのか数量によるものなのか分かりにくくなります。そこで、数量をどちらかの時点に固定して、価格だけを比較します。
ラスパイレス指数では基準時点の数量を固定するため、「昔の買い方のまま、今の価格ならいくらか」を見ています。
2. パーシェ指数
パーシェ指数は、比較時点の数量を重みとして使う指数です。
分子も分母も数量は $q_1$ です。「今の買い物かごを使って、今の価格と昔の価格を比べる」と考えます。
パーシェ指数の直感
パーシェ指数は、比較時点の数量を固定します。つまり、「今の買い方を基準にして、今の価格と昔の価格を比べる」指数です。
ラスパイレスは基準時点の生活パターンを固定し、パーシェは比較時点の生活パターンを固定します。試験では、$q_0$ と $q_1$ のどちらが分子・分母に共通しているかを見れば判別できます。
ラスパイレス指数との比較
| 指数 | 使う数量 | 直感 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 基準時点の数量 $q_0$ | 昔の買い物かごで価格変化を見る |
| パーシェ指数 | 比較時点の数量 $q_1$ | 今の買い物かごで価格変化を見る |
試験では、式の分子・分母を丸暗記するより、価格を比べたいのか、数量をどちらの時点で固定しているのかを先に読み取ると安定します。
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3. 標本抽出法の最終確認
標本抽出法は、名前と特徴の対応が問われます。推定や検定の前提として、標本が母集団を偏りなく代表しているかを考えるための論点です。
| 抽出法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 単純無作為抽出 | 母集団からランダムに抽出 | 基本形。各個体の抽出確率が等しい |
| 系統抽出 | 一定間隔で抽出 | 並び順に周期性があると偏る |
| 層化抽出 | 母集団を層に分け、各層から抽出 | 層内は似ていて、層間は異なると有効 |
| クラスター抽出 | 母集団をクラスターに分け、クラスターごと抽出 | コスト削減に有効だが精度に注意 |
| 多段抽出 | 段階的に抽出単位を絞る | 大規模調査で使われる |
有限母集団から非復元抽出する場合は、標本平均の分散に有限母集団修正が入ることがあります。
母集団分散を $S_N^2=\frac{1}{N-1}\sum_{i=1}^{N}(X_i-\bar{X}_N)^2$ と定義すると、
分散を分母 $N$ で定義する教材では係数が異なるため、記号の定義まで確認します。
抽出法は推定の前提を決める
標本抽出法は暗記項目に見えますが、推定や検定の前提に関わります。層化抽出では層ごとの代表性を高められますが、クラスター抽出ではコストを下げられる一方で、同じクラスター内の似通いによって精度が落ちることがあります。
問題文で「層」「一定間隔」「集落」「段階的」といった言葉が出たら、名前だけでなく、なぜその抽出法を使うのかまで意識しましょう。
4. 検定選択の最終確認
統計検定2級では、問題文から「何を検定したいのか」を見抜くことが最初の関門です。
| 見たいもの | 代表的な検定 | 参照分布 |
|---|---|---|
| 1標本の母平均 | 1標本 z/t 検定 | 正規分布または t 分布 |
| 2標本の母平均差 | 2標本 t 検定、Welch 検定 | t 分布 |
| 母比率 | 比率の z 検定 | 正規分布近似 |
| 母分散 | 母分散の検定 | カイ二乗分布 |
| 2つの母分散比 | F 検定 | F 分布 |
| 適合度 | 適合度検定 | カイ二乗分布 |
| 質的変数の独立性 | 独立性検定 | カイ二乗分布 |
| 3群以上の平均 | 分散分析 | F 分布 |
迷ったら、次の順に確認します。
- 量的データか質的データか
- 1標本か2標本か3群以上か
- 平均、比率、分散、度数のどれを見ているか
- 母分散が既知か未知か
- 対応ありか対応なしか
迷ったときの読み順
検定選択で迷う場合、最初に公式を探すのではなく、問題文の目的語を探します。「平均」を見たいのか、「比率」を見たいのか、「分散」を見たいのか、「度数のずれ」を見たいのかで参照分布が変わります。
次に、標本数と対応の有無を確認します。最後に、母分散が既知か未知か、正規近似を使える大標本かを確認すると、検定統計量を選びやすくなります。
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5. 回帰・分散分析の直前チェック
回帰
- 単回帰は $y_i=\beta_0+\beta_1x_i+\varepsilon_i$
- 残差は $e_i=y_i-\hat{y}_i$
- 最小二乗法は $RSS=\sum (y_i-\hat{y}_i)^2$ を最小化する
- $TSS=ESS+RSS$
- $R^2=1-RSS/TSS$
- 重回帰では係数を「他の変数を固定して」解釈する
- 多重共線性があると係数推定が不安定になる
分散分析
- 帰無仮説は「すべての群の母平均が等しい」
- 対立仮説は「少なくとも1つ異なる」
- $SST=SSA+SSE$
- $MSA=SSA/(k-1)$
- $MSE=SSE/(N-k)$
- $F=MSA/MSE$
- 有意になっても、どの群が違うかは多重比較が必要
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6. カイ二乗検定の直前チェック
カイ二乗検定は、問題文の目的で見分けます。
| 目的 | 検定 | 自由度 |
|---|---|---|
| 分散が基準値か | 母分散の検定 | $n-1$ |
| 観測度数が理論分布に合うか | 適合度検定 | $k-1$ が基本 |
| 2つの質的変数が独立か | 独立性検定 | $(r-1)(c-1)$ |
独立性検定の期待度数は、
です。適合度検定では理論確率から期待度数を作る点が異なります。
7. 間違えやすい論点一覧
| 論点 | ひっかけ | 正しい見方 |
|---|---|---|
| p値 | 帰無仮説が正しい確率と解釈する | 帰無仮説のもとで観測以上に極端な結果が出る確率 |
| 第一種の過誤 | 本当は正しい $H_0$ を棄却 | 確率は $\alpha$ |
| 第二種の過誤 | 本当は誤りの $H_0$ を棄却できない | 確率は $\beta$ |
| 検出力 | $\beta$ と混同する | $1-\beta$ |
| t分布 | いつも使うと思う | 母分散未知の平均推定・検定で多い |
| カイ二乗分布 | 独立性検定だけと思う | 母分散、適合度、独立性で使う |
| F分布 | 分散分析だけと思う | 分散比、ANOVAで使う |
| 相関 | 因果と混同する | 相関は因果を示さない |
| 決定係数 | 予測精度と混同する | 標本内の説明割合 |
8. 最後に解くべきもの
本文を読み終えたら、知識を問題形式に変換します。統計検定2級は、公式を知っているだけでなく、問題文から条件を読み取る力が必要です。
関連教材(青の統計学)
おすすめの進め方は次の通りです。
- チートシートページで公式と条件を確認する
- 苦手章だけ攻略ページへ戻る
- 演習で検定選択と計算を確認する
- 模試で時間配分と読み間違いを確認する
- 間違えた問題を、このページの表に戻して分類する
確認問題
問題1
ラスパイレス価格指数で固定する数量は、基準時点と比較時点のどちらですか。
解答を見る
基準時点の数量 $q_0$ を固定します。
問題2
2つの質的変数の関連を調べたい。使う検定と自由度の形を答えてください。
解答を見る
独立性検定を使います。$r$ 行 $c$ 列の分割表なら自由度は
です。
まとめ
| 項目 | 最終確認 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 基準時点の数量 $q_0$ を使う |
| パーシェ指数 | 比較時点の数量 $q_1$ を使う |
| 標本抽出法 | 単純無作為、系統、層化、クラスター、多段を区別 |
| 検定選択 | 平均・比率・分散・度数・3群以上で分ける |
| 回帰 | $R^2$ と予測精度を混同しない |
| 分散分析 | 有意後にどの群が違うかは多重比較 |
| カイ二乗検定 | 母分散、適合度、独立性で自由度が違う |
この章のあとに解きたい演習
本文を読んだら、次の問題で「公式を選ぶ」「条件を読む」「計算する」練習に移りましょう。