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連続型確率分布:一様分布・正規分布・標準化

Stage 2 — 第7章 | 統計検定2級チートシート 推定学習時間:55〜70分 | 難易度:★★★☆☆


この章で学ぶこと

連続型確率分布では、確率変数が連続した値を取ります。身長、測定誤差、売上、処理時間のように、小数を含む値として観測される量が典型例です。

離散型分布との最大の違いは、確率密度の値そのものは確率ではないという点です。連続分布では、曲線の下の面積が確率になります。

この章を終えると、こんなことができるようになります:

  • 連続型確率変数と確率密度関数の関係を説明できる
  • 一様分布と正規分布の基本形を理解できる
  • 標準正規分布への標準化を使える
  • 二項分布の正規近似がなぜ使えるのかを説明できる
  • 指数分布・ガンマ分布を補足論点として位置づけられる

1. 連続分布では「面積」が確率になる

連続型確率変数 $X$ は、ある範囲の実数値を取ります。連続分布では、確率密度関数 $f(x)$ を使って確率を表します。

確率密度関数は、次の条件を満たします。

\[ f(x)\ge 0 \]
\[ \int_{-\infty}^{\infty}f(x)dx=1 \]

区間 $[a,b]$ に入る確率は、次の積分で求めます。

\[ P(a\le X\le b)=\int_a^b f(x)dx \]

ここで重要なのは、$P(X=a)$ のような1点の確率は基本的に $0$ になることです。連続分布では「ちょうど170.000000...cm」のような一点ではなく、「169cm以上171cm以下」のような区間で確率を考えます。

密度が1を超えてもよい理由

確率密度関数の値は、確率そのものではありません。そのため、密度の高さが1を超えることもあります。重要なのは、曲線の下の面積全体が1になることです。

この点を理解していないと、「密度が1.2なら確率が120%なのか」と誤解しやすくなります。連続分布では、確率は常に区間の面積として読みます。

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2. 一様分布

2.1 何を表す分布か

一様分布は、ある区間内のどの値も同じ密度で起こる分布です。区間 $[a,b]$ 上の連続一様分布では、確率密度関数は次のようになります。

\[ f(x)=\frac{1}{b-a}\quad (a\le x\le b) \]

区間外では $f(x)=0$ です。

一様分布の面積は、長方形の面積として考えられます。

\[ (b-a)\times\frac{1}{b-a}=1 \]

2.2 期待値と分散

連続一様分布 $U(a,b)$ の期待値と分散は次の通りです。

\[ E[X]=\frac{a+b}{2} \]
\[ Var(X)=\frac{(b-a)^2}{12} \]

試験では、式そのものよりも「確率密度が一定」「区間の長さが長いほど密度は低くなる」という直感が大切です。

分散が幅の2乗に比例する理由

一様分布では、分布の形は常に平らです。ばらつきを決めるのは、区間の位置ではなく幅です。区間全体を右へずらしても広がりは変わらないため、分散は $a$ や $b$ の絶対位置ではなく $b-a$ によって決まります。

また、分散は距離の2乗の平均なので、幅が2倍になると分散は4倍になります。式の $(b-a)^2$ はこの感覚と一致しています。

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3. 正規分布

3.1 統計検定2級で最重要の連続分布

正規分布は、平均の周りに左右対称に広がる釣鐘型の分布です。

\[ X\sim N(\mu,\sigma^2) \]

と書き、$\mu$ は平均、$\sigma^2$ は分散を表します。

確率密度関数は次の通りです。

\[ f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^2}}\exp\left(-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}\right) \]

この式を丸暗記する必要性は高くありません。統計検定2級では、次の特徴を押さえることが重要です。

  • 平均 $\mu$ を中心に左右対称
  • 分散 $\sigma^2$ が大きいほど広がる
  • 平均、標本平均、検定統計量の近似分布として頻出する
  • 独立な正規分布の和も正規分布になる

3.2 正規分布の形とパラメータ

平均 $\mu$ は分布の中心を決め、標準偏差 $\sigma$ は分布の広がりを決めます。

パラメータ 変えると何が起きるか
$\mu$ 分布全体が左右に移動する
$\sigma^2$ 分布の広がりが変わる

[図1] 正規分布の平均と分散 平均を変えた正規分布と分散を変えた正規分布を並べた図

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4. 標準正規分布と標準化

平均0、分散1の正規分布を標準正規分布と呼びます。

\[ Z\sim N(0,1) \]

確率密度関数は、

\[ f(z)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\exp\left(-\frac{z^2}{2}\right) \]

です。

任意の正規分布 $X\sim N(\mu,\sigma^2)$ は、次の変換で標準正規分布に直せます。

\[ Z=\frac{X-\mu}{\sigma} \]

この変換を標準化といいます。標準化によって、「平均から標準偏差何個分だけ離れているか」を測れるようになります。

なぜ標準化すると $N(0,1)$ になるのか

$X-\mu$ は、分布の中心を0に移す操作です。これで平均は0になります。さらに $\sigma$ で割ると、ばらつきの単位を標準偏差1個分に直します。

正規分布は、線形変換しても正規分布の形を保ちます。そのため、中心を0に移し、標準偏差を1に直したものが標準正規分布です。表を使って確率を読むためには、まずこの形にそろえる必要があります。

例) $X\sim N(70,10^2)$ のとき、$X=85$ は、

\[ Z=\frac{85-70}{10}=1.5 \]

です。つまり、平均より標準偏差1.5個分だけ高い値です。

4.1 上側確率と下側確率

統計検定2級では、標準正規分布表を使って確率を読む問題が出ます。

例えば、$P(Z\le 1.96)\approx0.975$ なので、

\[ P(-1.96\le Z\le 1.96)\approx0.95 \]

となります。この $1.96$ は、95%信頼区間や両側5%検定で頻出します。


5. 二項分布の正規近似

二項分布 $X\sim B(n,p)$ は、$n$ が十分大きく、$p$ が0や1に近すぎないとき、正規分布で近似できます。

\[ X\approx N(np,np(1-p)) \]

標準化すると、

\[ Z=\frac{X-np}{\sqrt{np(1-p)}}\approx N(0,1) \]

です。

これは中心極限定理の考え方に基づいています。二項分布は、独立なベルヌーイ確率変数の和として表せるため、試行回数が増えると正規分布に近づきます。

母比率の検定で標準正規分布を使うのも、この近似が背景にあります。

注意点: $p$ が極端に小さい、または大きい場合は正規近似が不安定になります。その場合は、ポアソン近似や正確な二項計算を検討します。

連続補正に注意

二項分布は離散分布、正規分布は連続分布です。そのため、$P(X\le 5)$ を正規近似するときは、境界を $5.5$ のように少し広げる連続補正を使う場合があります。

統計検定2級では、常に連続補正を細かく計算するとは限りませんが、「離散を連続で近似している」という意識を持っておくと、近似の意味を理解しやすくなります。


6. 指数分布・ガンマ分布は補足として理解する

統計検定2級では、正規分布が中心です。ただし、発展的な理解として、指数分布とガンマ分布の名前も押さえておくと分布の関係が見えやすくなります。

分布 直感
指数分布 次のイベントが起きるまでの待ち時間
ガンマ分布 複数回イベントが起きるまでの待ち時間

ポアソン分布が「一定時間内の発生回数」を扱うのに対し、指数分布は「次の発生までの時間」を扱います。

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7. 試験で問われやすいポイント

論点 押さえること
連続分布 確率は密度の値ではなく面積
一様分布 区間内で密度が一定
正規分布 平均中心に左右対称、分散で広がりが変わる
標準化 $Z=(X-\mu)/\sigma$
95%区間 標準正規ではおおよそ $-1.96$ から $1.96$
正規近似 二項分布や標本平均の近似に使う

よくあるひっかけ: 確率密度 $f(x)$ が1を超えること自体はありえます。確率として1以下でなければならないのは、密度ではなく、区間の面積です。


8. 次の章への接続

正規分布と標準化は、標本分布、推定、検定の中心です。次の章では、標本平均の分布、標準誤差、中心極限定理、t分布・カイ二乗分布・F分布の役割を整理します。

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この章のあとに解きたい演習

本文を読んだら、次の問題で「公式を選ぶ」「条件を読む」「計算する」練習に移りましょう。